「撃華美人」を作った田淵さんと脚本を煮詰めつつ、キャストを集めていく。問題なくいくと思えたが、メイン悪役、大月を演じる鈴木さんが舞台の稽古がある為、10月中に撮らなくてはいけなくなった。最悪ですな… スケジュールを調整した上で撮影は10月の3日間で行う事になる。自分はメインのキャスティングで、手下役は中原さんや鈴木さんに協力してもらう。人数的な問題がなくなり初日の撮影に挑む。しかし!撮影前日になり、その日に必要な役者さんが急に腰を痛めて入院。嘆いていても仕方がないので代役を探すか、本を変える事になった。その人にオファーをする前に「JKT」で知り合った白坂さんにも声を掛けていたのだが、映画の撮影により微妙だった。駄目元で前日に連絡してみると、やっぱり撮影との事。仕方なく本の内容を変えていたら、再び白坂さんから連絡が来る。「手伝う!」撮影は昼から八王子との事なのでそれまでの間なら頑張ってくる との事だった。そのドン・フライ並の男気に助けられ状況は元に戻った。
時は来た!それだけだ!撮影初日、俺の腰は最悪にきつい。撮影するシーンは多い。それだけでなく白坂さんの拘束時間は約一時間ちょっと。役の内容的にはかなり厳しい時間。なにしろ午前中にそこのシーン全体を撮り切れるかどうか不安になるくらいの量だった。いちお前日には撮る順番を考えてきた。とにかく白坂さんが映りこむ絵を優先して撮るようにした。このシーンは昔の時代の設定なので絵の感じも西部劇風にしている。つまり自分の撮影で多いステディーカムでのウニョウニョはない。全て固定の絵。そして少しでも早く撮ろうとする為にカメラは二台同時に廻す事にした。それが功を成して無事に午前中にそこの場面を撮り切る事が出来た。白坂さん、清水さんお疲れさまです。
休む間もなく中原さんと鈴木さんに特訓シーンを強要。腕立てをやらせた後に、うさぎ飛びをまるで当たり前のように頼む俺ってひどいな。
そしてキャスト増員。前回のストロンゲストに出ていただいた山下ともちさんと鈴木さんの手下軍団の到着。知らない人が多くなって自分としては結構ビビってくる。が、そんな初対面の方々に役の説明で「貴方達は人間のクズです」と説明する。ホント俺って酷いな。 人数が増えてちょっと混乱したが結構スムーズに進んだ。唯一の問題は天気が良かった為、廻り込みをした時にレンズフレアが入ったりしてしまった。
そしてともちさんと中原さんは、その日の撮影は終了。ともちさんは帰すけど、中原さんは引き止めておく。「マイストロンゲスト」の恨み。いやスタッフとして一人でも多くいた方が良いから(笑)
次のシーンの時間設定は夜。そして時代は現代。ここはいつもの俺らしくウニョウニョいっぱいにしようと考えてた。 が!現場が想像以上に暗すぎた。VX2000でどうにか撮れる状態だ。俺のステディーカムはVX2000を載せる事が出来ない。仕方なく手持ちで行う。バッテリーライトもまったり使える余裕はない。ここに来てピンチにぶち当たる。でもどうにかしてオリジナルのコンテに近付けようと努力したが、バッテリーライトで廻り込みって出来ないじゃん! 泣く泣くコンテを変更して撮影終了。
個人的には夜の場面は好きだけど、自分の撮影に関しては夜は厳しいな・・・
今日の撮影はバーを舞台にしての撮影。今回のメンバーは中原さん、ともちさんに加えて、熊代さん、河田さん、稲葉さん。マスター役の稲葉さんは以前、知り合いの細野さんが作った「曲撃師」でもマスターを演じていて、それを見てたせいか、脚本執筆中、マスターの事を考えるたびに稲葉さんが浮かんだのでお願いした。この場面で出てくる飲んだくれコンビの河田さん、熊代さんは噛み合いそうな感じがしたのでお願いしたのだが、相乗以上に噛み合った。というか噛み合い過ぎた。初対面であるにも関わらず、アドリブがほとんどの河田さんの下ネタ大暴走を見事に熊代さんが突っ込み返してた。
撮影自体はまあ普通のペースで行ってるような感じがしたけど、長廻しが多いのと、お店自体が狭く、カメラのセッティングに大分時間を取られてしまい、夕方には外での撮影、そして夜にはお店を元に戻さなくてはいけないので、午後から焦りが見え始め、カメラアングルが微妙だったり、アップなどのカットを撮る事すらも出来なかった。特に最後の方でアップを撮っておけば良かった。と物凄く後悔している。
この日の撮影では中原さんがお酒の代わりにある物を飲むシーンがあるんだけど、自分の頭の中ではビールジョッキを考えていたが、なんとジョッキがお店(スナック)には置いてなかった。「ジョッキなんてどこの飲み屋にでもあるだろう」と思っていたがそうでもないんですね。結局グラスでやる事になり俺は凹み気味だったけど、それを飲んだ中原さんにはラッキーでしょう。
バーの撮影も終り、お店を元通りにして、外での撮影に移る。しかし既に外は暗く、とてもじゃないがロケ予定地では撮れる状況ではなかった。東京自主映画界のゴッドファーザーとも言える太田さんが「夜でも結構明るめの公園がある」と教えてくれたので、そこへ行き撮影を完了。帰ってからK1を見てあまりのグダグダさに凹む
素材をチェックしてる時にとんでもない事が発覚。バーでの撮影で冷蔵庫の音が結構目立っている。借りてるお店なので冷蔵庫の電源を切る事はできない。常に「ゴー」という感じのノイズが耳につく。おまけにセリフが結構小さめ…
この日は中原さんの特訓シーン。中原さんと二人だけでの撮影なのでまったりと撮影。俺はまったりだが、特訓をしなくてはいけない中原さんはまったりではない。ハードな練習をしてるように見せる為、霧吹きを使って汗っぽく見せたのだが、もう秋です。ちょっとくらい水をかけるならともかく2.3テイク毎に水をかけたので、厳しいのはトレーニングだけではなかったかと思います。
空中に飛ばした缶をパンチで殴り、その先にある木に缶とパンチがぶつかるというシーンを撮影したのですが、でもうまくいかない。浮いてる缶を殴ると木ではない方向に飛んでしまう。缶を浮かせるための糸などはない。ちょっと悩んでいたら良いものを発見。この場所には蜘蛛がいっぱいいて。蜘蛛の巣もかなりあり、それがまたでかくて粘り強い。「使えるかも」とためしに蜘蛛の巣をちょっと切り、缶につけてみるとちゃんと吊れた。まさかこんなにうまくいくとは思わなかった。そして自分がマクガイバーになったような気分だった。 そして浮かせて缶を潰したのだが、なーんかあんまかっこよくないので結局カットした。
この日が最後の撮影日になる予定だった。最後の撮影である。でも風邪をひき気味、さらには前日の深夜にロケ地を貸してくれる友達に頼まれ事をされていて、寝ないでの撮影となる。「でもやってやるぞ」と意気込んでロケ地に向かったのだが、現地に集まったスタッフ、キャストの数(15人くらい)にびびって、たじろいでしまった。
撮影する量は多い。おまけに初日の夜に撮った部分の再撮影を考えていたので、4時くらいまでには終らせたい。最初のシーンは問題なく行ったので「これなら再撮もいけるぞ」と考えていたのだが、午後くらいになって自分の中で何かが狂い始めた。何が狂ったのかは自分でも説明できないが、「ド真中がズレていた」感じがした。撮影のペースはどんどん遅れていく。自分でも何かがおかしいと思いつつも、進めなければいけない。更に追い討ちをかけるように腰痛が悪化してきた。3時を過ぎて、残りのシーンは二つ。どう考えても日が昇っているうちには間に合わない。そこで一つのシーンを後日に廻す事にした。
4時過ぎ。正直自分の中で何を考えているかとか、何をやってるか分からなくなってくる。いちおコンテに沿って撮影をしてたので、絵は繋がるだろうが、自分の頭の中には脳みそが外出中という感じ。どんどん日が沈んで、結局夜になってしまった。AEで誤魔化さなければならないのだろうか…。どうにか終了した。本当にどうにかと言う感じ。
撮影に参加してくれた方々。「正直すまんかった」
前回撮り逃したシーンは12月に撮る事になったので、それまでにその近辺の編集を繋げてみる。微妙に妖しい所がいくつかあったので、その分の追加撮影を行う事にする。 問題の4時以降の撮影の部分だが、どうにか上手くいっている。これはこれでOKだと思った。
だがしかし見返すたびに後悔の気持ちが出てくる。「テンパった状態でこの出来ならちゃんとやればもっと素晴らしいものが出来たんじゃなかろうか」そして内容に関しての問題だが、某ハリウッド映画の1シーンに似てる感じがする。この手の分野に詳しい人なら「いや、似てるとは思わない」と思うだろうが、普通の映画ファンが見たら「似ている」と思いかねない。その作品に対して自分は敬意を抱いている。とは言えパクリと思われるのは物凄く嫌だ。今まで香港アクションっぽい事をやってきた。でも見た映像を「これをこうすればもっとかっこ良くなる」とか思って自分なりに加工してきた。 自分の好きな映画とまるっきり同じカット割りやシーンを模倣した事もある。この作品でもそれをやったが、あくまでオマージュとしてやった。でもこの「四時以降の撮影シーン」はそれとは違う。自分の中ではオマージュにもならない。ここはオリジナリティーを出さなきゃいけない所だ。そこで決断をした
「撮り直そう」 今回の撮影が非常にタイトで役者陣・スタッフにも迷惑をかけたし、非常に申し訳ないと思うけどお願いした。そのシーンに関わる全員の許可を取り、撮り直しが可能になった。 だけど撮り直しをするからには今度ばかりはミスは出来ない。今回は完全に自分で殺陣を作り直し、中原さんを呼んでリハーサル&ビデオ撮りを行った。撮ったビデオを中原さんと相手役の人に送った。殺陣の内容を覚えてもらう為だ。これは初めての試みだったが、非常に良かった。コンテを作る時も何が不可能かとか目で確認できる。今後も出来る限り、このスタイルを続けたい
撮り逃したシーンの撮影と追加撮影。今回の人数は4人しかいないので気分的にリラックスして撮れた。前回の殺陣で実戦的になりすぎたので、ちょっと映画向きに変えたりしたりもした。 今回の新規撮影は、初めて車でのアクションを行ったのだが、残念ながら車側の問題もありアクションの内容が制限。あー悔しい。
自分のカメラワークは基本的に動きまくる物が多い。出来る限り「あり得ない動き」を多くしているがmこの映画では出来るだけ「ちょっと懐かしい感じのする絵」をメインに撮っていった。でもそれだけにはせず、たまに「動きのある絵」を入れた。今回の撮影でも「動きのある絵」を撮影したのだが、いかんせん自分の腰が悪くて、動いている途中に「うぐっぅ!」っとうずくまってしまった。
そんな腰の悪い状態の俺が今日はヤラレ役として登場する。しかも吹っ飛びのスタント付き。吹っ飛ぶ所には段ボール箱をおいて万全の体制にしていたので、吹っ飛んでも痛くない。痛くないから調子こいて何回か吹っ飛んでいたら段ボール箱の角の所に思い切り首を直撃。ギロチン状態になってしまった。
さて問題の取り直し撮影です。出演者の都合により期限は午後3時まで。集合時間は9時に設定しておき、どうにか撮れる時間だから問題なく行くと思われた。 しかし!当日電車が止まり出演者とスタッフが途中で足止め!そしてロケ地を提供してくれる友達がなんと寝坊!!!! 結局10時からのスタートとなってしまった。撮影は前回と全く違う場所での撮影にした為、前回の映像は使う事が出来ないので新規撮影。最初の部分はタイミングが重要になってくる部分が多いため、それなりに時間がかかる。今回助監督(というか影のボス)をやってくれる誉田さんが「時間が無いよ」俺のケツを叩く。どうにかタイミング重視の前半部分が終わり。後は格闘戦となる。ここはリハーサルビデオのおかげもあり、かなりスムーズに進む。 本当にやっておいて良かった。今までどおりに絵コンテだけで撮影をしていたら<実際は不可能な動作>などが出てくるのだが、そういうような問題はほとんどなかった。一つだけ大きな問題があったのだが、それは殺陣の問題ではなく<BB弾世代の俺が銃をよく分かってなかった>というミスだった。リボルバーにはセーフティーがあるとずっと信じこんでた。
時間の都合上、微妙にはしょったりしたが95%は予定通り進行し、3時ギリギリには無事撮影が終った。お疲れ様です。
編集・MAもほとんど終わり、微妙な調整をしてた時にちょっとした事が思い浮かんだ。「追加撮影をしたら効果的に部分がある!」今になって追加撮影なんて…と思うかも知れないが、一人でどうにかなるレベルの撮影だ。と言う事で家の人間が寝静まった頃、俺はカメラと血糊を用意し、上着だけ・チンチンブラブラの状態で風呂場に向かった。片手にカメラを持ち、もう片方の手には血糊。血糊を顔とかに塗りたくり撮影を行った。田渕さん製作の血が<ムエタイの肘カット>のようにどんどん垂れてきて目に入る。これが尋常じゃない痛さで一時は目が開かなくなった。後で血糊の材料を聞いたら納得。そりゃ痛くなるわ。
血まみれでちんちんブラブラという恥ずかしい姿を家の人間に見られる事もなく、やっと全ての撮影が終了した